歯の曲がり角
健康は失って初めてありがたみがわかると言いますが、歯も失ってから「もっと大事にすればよかった…」と後悔する患者さんが多いようです。
永久歯は6歳頃から乳歯と生えかわり始め、12歳頃に生え揃います。
人間の場合は、永久歯を抜いてしまうと、もう新たな歯は生えてきません。
永久歯を大事に使い、一生自分の歯で食べるために知っておきたいこと。
それは、「歯の神経が死んでしまうと、歯の寿命が短くなる」ということです。
歯の神経が死ぬことを「失活」といいます。
失活は歯の一生のターニングポイントです。
歯の神経は歯の中心にあります。
一般的に「神経」といいますが、正確には「歯髄」といいます。
神経だけでなく血管も通っています。
歯の表面だけにとどまる小さいむし歯では痛みは出ませんが、むし歯が大きくなって歯髄に近くなると痛みが出てきます。
痛みが出るのは歯髄が炎症をおこすからです。
炎症がひどくなると、最終的には歯髄は死んでしまいます。
歯髄が死んでしまっても、きちんと治療をすることで、むし歯になる前と同じように噛むことができます。具体的には、根の中の神経が入っていた部分を消毒して、細菌が入らないようにつめものをして、歯の形を回復して歯を保護するためのかぶせものをします。
失活した歯は、歯髄が生きている時と違って、またむし歯になっても痛みを感じません。
また、もろく、割れやすくなります。
痛みがないので気が付かないうちにむし歯が大きく進行してしまったり、
根の治療をしても消毒できない部分まで細菌が入り込んでしまったり、
歯が割れてしまったりすると、
抜歯しなくてはいけない状態になってしまいます。
失活したからといって歯がすぐダメになるわけではなく、きちんと治療をしたら、その後数年~数十年もつことが多いです。(ただし、失活後きちんと治療をしないと、早くダメになってしまいます。)
失活しないようにするためには、痛みがでるほどむし歯が大きくなる前に見つけて治療することが大事です。
前歯の見やすいところ以外では、小さいむし歯を自分で見つけることはできません。
こまめに歯医者にかかって、むし歯ができていないかチェックを受けることがおすすめです。